【予告編】本当の間接税と消費税の価格構成を比較。利益ゼロでも容赦なく取り立てる、悪魔の財務省から来た消費税!
消費税というのは知れば知るほど、奇妙な税金だ。
名称に「消費」と冠されているから、消費者が納税義務者として払って事業者が納付している間接税、つまり預り金というイメージを必然的に起こさせる。しかしながら、実態は事業者が「納税義務者」かつ「納付義務者」の直接税で、消費者は法人税や所得税や人件費や水光熱費や利益などの事業者の経営に必要な他の費用と同様に消費税を、代金を払うことで「負担」はしているが、「納税」はしていない。
これを一読で理解できるとしたら、それは悪魔的に頭のいい人間だろう。俺のような凡人は何度も繰り返し読み込んで「消費税=預り金」という固定観念を排除しないと理解できなかった。
実際の間接税としては、入湯税やゴルフ場利用税があり、これらは税法で明確に利用者が「納税義務者」で、事業者に「徴収義務」と「納付義務」が課せられているから、分かりやすい。事業者は自らの経営に必要な「売上(=仕入れ+人件費+利益)」+「間接税」を利用者に請求する。利用者が払った代金(=売上+間接税)のうちの「間接税」は預り金だから、そのまま市町村に納付する(入湯税もゴルフ場利用税も地方税)。実にシンプルだ。
図1【間接税(「預り金」)の価格構成例】
請 求 額(750円) | |||
売 上(500円) | 入湯税(250円) 「預り金」 利用者から徴収 市町村に納付 | ||
仕入れ | 人件費 | 利益 |
例えば、入湯税250円の徴収を課せられている温泉事業者がいて、自身の経営に必要な売上が500円であれば、事業者は利用者に750円を請求する。利用者は請求額の750円を払うことで、それに含まれる250円の入湯税の納税義務を果たす。そして事業者は、代金を受け取ることで徴収義務を果たし、250円を市町村に納付して、納付義務を果たす。
つまり、間接税の場合、事業者が必要な「売上」とは別の「預り金」なので、事業者の懐(=利益)は何ら痛まない。
この間接税のイメージを実際には事業者の直接税である消費税に対して、我々消費者が持ってしまっている(というより持たされている)というのは、実態が正しく広まっていないという点で、大きな問題だ。というのは、事業者が「売上」に税率通りの「消費税」を含めた値段で販売して、常にその代金を消費者から払ってもらえているのであれば、間接税と同じ預り金と解釈できなくもないが(*)、現実の販売価格というのは需要と供給の関係で上下するし、下請け会社であれば親会社から消費税分の負担を求められることも多々あるだろう。
*実際には消費税の納税額は(売上に含まれる消費税額−仕入れに含まれる消費税額)で計算するので、この解釈は後者が0円でないと成立しない。
図2【消費税が間接税(「預り金」)という幻想の価格構成例】**
販 売 価 格(1,100円) | |||
売 上(1,000円) | 消費税(100円) 「預り金」 利用者から徴収 税務署に納付 | ||
仕入れ (300円) | 人件費 (400円) | 利益 (300円) |
図3【消費税(直接税)の理想の価格構成例】**
販 売 価 格 = 売 上(1,100円) | |||
仕入れ (300円) | 人件費 (400円) | 利益 (300円) | 消費税(100円) 税務署に納付 |
図4【図3から消費税分を含む110円の値下げ要求を飲んだ、
或いは1,100円で売れず値下げ販売した場合の価格構成例】**
販 売 価 格 = 売 上(990円) | |||
仕入れ (300円) | 人件費 (400円) | 利益 (200円) | 消費税(90円) 税務署に納付 |
図5【あまりにも売れないので《利益ゼロ》で売った場合の価格構成例】**
販売価格 = 売上(770円) | ||
仕入れ (300円) | 人件費 (400円) | 消費税 (70円) |
**仕入れに含まれる消費税額は0円で作図。
消費税が本当に間接税、つまり消費者が納税義務者と定められているのであれば、図2のように事業者は常に「売上」+「消費税」で販売できるが、実際には消費税は事業者が納税義務者の直接税なので、図3のように「売上」の中に「消費税」が含まれてしまう。図3はあくまでも理想なので、現実には図4のようなケースが生じているだろう。値下げ要求を飲まざるを得なかったとか、理想価格では売れないので値下げ販売したとかだ。
そして図5のように《利益ゼロ》で売っても、容赦なく消費税は取り立てられる!
利益に掛かる法人税は利益ゼロなら免除されるが、利益ゼロ、いや、たとえ赤字でも苛烈に取り立てて事業者を責め苛む、こんな消費税の、一体どこが間接税なのだろうか。
事業者からすれば、まさに「悪魔の財務省から消費税が来た!」だろう。