【予告編】消費税は払う人が消費者の間接税ではなかった!払う人も納める人も両方とも事業者の直接税、証拠は消費税裁判の判決(預り金ではない)
さて、1997年の5%への増税以降、日本の経済成長をストップさせたと見て差し支えない消費税は間接税というのが常識だ。財務省のホームページにもそう記載されている。
そして、一般の消費者の消費税に対する理解は、『消費者が消費税を払っていて、事業者はそれを預かって納税している』だ。何故なら、消費税導入当初に国税庁はそのように告知していたのだから。
『消費税は、消費者の方にご負担いただくものです(4月1日から3%)』
国税庁のWEBには上記の第一弾のポスターしか掲載されていないが、ググれば、他のポスターも見る事が出来る。
『ちゃんと消費税も払っているのに、それを預かる人のなかにきちんと税務署に納めない人がいるなんて、ぜったい許せないじゃん』
『オレが払った消費税、これっていわば預り金なんだぜ』
『消費税は預り金的性格を有する税です』
『とめないで私の払った消費税』
何か「預り金的性格」なんて意味不明な表現が使われているポスターがあるが、こんなの永久に掲示されているわけではないし、消費税導入時から価格表示は税別(本体価格)、税込みとかになっていたから、消費者はほとんど誰もが『自分が消費税を払っている』という認識だと思う。払う人と納める人が違うから「間接税」だよねって、誰だってそう思う。俺だってそう思う。
ちなみに消費税の導入理由は『直間比率の是正』と説明されていて、直接税である法人税が高すぎるので、間接税の比率を上げるというものであった。(消費税導入前の間接税は4%ほど)しかも法人税には累進性があって、高額所得者ほど負担比率が高くなっていたので、財界の不満が大きく、間接税比率の拡大要望が政府に対してあったということなのだろう。
(近年は消費税が必要な理由が「財政再建のため」「社会保障のため」と変遷しているが、景気に左右されない安定的財源なので、使い所が時代によって変わるのも止む無し、なのだろう、か。。。?)
ところが、である。
「消費税減税ニッポン復活論」での森田じゅん税理士の話によると、『消費税は預り金ではない』そうなのだ。え、そんなバカな、という話なのだが、その発端は消費税導入時に年商3,000万円以下の事業者は免税事業者ということで、消費税を免除されており、それは消費者から預かった消費税を事業者がネコババしていることになるから横領だ、益税だ、ということで平成元年にサラリーマン新党が東京と大阪で裁判を起こしたのである。
そして、裁判の結果は原告の敗訴で、判決理由は
「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない」
「(消費税の)徴収義務者が事業者であるとは解されない。したがって、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」
というものであった。端的に言えば、消費税は預り金ではない、ということである。(実質的負担者の意味するところは後述する)
実際、消費税法を見ても納税義務者は「事業者」とのみ定められており(第五条)、「消費者」の文字は一切、出てこない。何と消費税は常識とは反対の、納税義務者も納付義務者も(つまり払う人も納める人も)両方とも事業者という、直接税であったのだ!
ここで気を付けなければならないのが、判決文や財務省のホームページにある「実質的負担者」という文言だ。ここを「消費者が納税義務者として負担している」と解釈してしまうと、判決文と齟齬が生じてしまう。何故なら判決文では『消費者は消費税の納税義務者であるとは到底いえない』とはっきりと否定しているからだ。
では、実質的負担者とは何か。これは、消費者が払う代金には、その構成要素として消費税だけでなく法人税や事業税や人件費や水光熱費や仕入れ費や利益など、事業者が継続的に事業を営むために必要なあらゆる費用が含まれているわけだが、それを代金を払うという行為で消費者が負担しているという、単なる事実を説明しているだけだと解釈するべきだろう。つまり「負担」はしているが、「納税」はしていないのである。
上記判決があるためだろうが、財務省は消費税の説明ページで、間接税の定義を「納税義務者と実質負担者が異なる税を「間接税」と呼びます。」と説明しているが、これはおかしい。この説明だと法人税も「間接税」になってしまう。要は「実質負担者」の定義が曖昧なのだ。
直接税:納税義務者と納付義務者が同じ
間接税:納税義務者と納付義務者が異なる
上記のように定義すれば「実質負担者」という曖昧な文言は排除できるし、直接税と間接税を間違いなく区分できる。税法文中で「納税義務者」と「納付義務者」をそれぞれ定めて、両者が同じなら直接税、異なるのなら間接税、とする方が分かりやすいし、筋が通っている。
最後に繰り返すが、消費税は事業者が納税義務者で、納付義務者でもある、直接税だったのだ。そして前回、最後に触れたように、消費税の納税額の計算方法には、日本を全滅させる「賃金上昇抑制」の仕掛けが仕込まれていたのである!