2022年12月03日

恐怖の消費税シリーズ!#06「まぼろしの経済成長」


【予告編】「賃金上昇抑制の仕掛け」は消費税納税額の節約術にあり。社員を切って人件費を減らして仕入れになる派遣を雇おう!救世主はなぜか解禁業種が増えた派遣法。25年間で消えた経済成長は500兆!
消費税と称する付加価値税について調べていくと、驚愕の事実が次々と明らかになって、すっかり後回しになってしまったが、シリーズ最初の頃に文言だけ出していた「賃金上昇抑制」の仕掛けを取り上げようと思う(やっとかよ)。

消費税と称する・・・面倒なので、以後、消費税と表記する。その納税額の計算式が(売上に含まれる消費税額―仕入れに含まれる消費税額)であることは既に述べたが、前回紹介したどんぶり勘定事務所の動画の紹介ボードの例を価格構成で見ていこう。

図1【事業者の価格構成】消費税納税額:1,000円300円 700円 
販売価格=税込み売上(11,000円)
税込み仕入れ(3,300円)
税込み粗利(7,700円)
仕入れ
本体価格
(3,000円)
仕入れ
消費税
(300円)
税込経理の利益(2,700円)
人件費
(5,000円)
納税額
(700円)
税抜経理
の利益
(2,000円)
売上消費税
(1,000円)
粗利
(7,000円)
消費税納税額:税込み粗利7,700円*(10/110)= 700円 

同じ売上で事業者が納税額を節約する方法は、計算式から明らかだ。
 納税額=売上に含まれる消費税額―仕入れに含まれる消費税額
後者の「仕入れ額に含まれる消費税額」を増やせば良い。だがどうやって?

図2【仕入れ先が値上げした価格構成】消費税納税額:1,000円400円 600円 
販売価格=税込み売上(11,000円)
税込み仕入れ(4,400円)
税込み粗利(6,600円)
仕入れ
本体価格
(4,000円)
仕入れ
消費税
(400円)
税込経理
利益(1,600円)
人件費
(5,000円)
納税額
(600円)
税抜経理
の利益
(1,000円)
売上消費税
(1,000円)
粗利
(6,000円)
消費税納税額:税込み粗利6,600円*(10/110)= 600円 

仕入れ先が値上げをすれば、仕入れ額は増える。その反面、粗利は減るので人件費を保つとしたら利益を減らすしかない。利益を維持して社員に払う人件費を減らしたら社員の不満は高まるし、会社を辞められてしまうかもしれない。あぁ・・・・・・どうすれバインダーと社長が頭を悩ませていると、そこにやってきたのが、人材派遣会社PSNの営業、竹中氏。

図3【社員を切って派遣を雇った価格構成】消費税納税額:1,000円400円 600円 
販売価格=税込み売上(11,000円)
税込み仕入れ(4,400円)
税込み粗利(6,600円)
材料仕入れ
(3,000円)
人材派遣費
(1,000円)
仕入れ
消費税
(400円)
税込経理の
利益(2,600円)
人件費
(4,000円)
納税額
(600円)
税抜経理
の利益
(2,000円)
売上消費税
(1,000円)
粗利
(6,000円)
消費税納税額:税込み粗利6,600円*(10/110)= 600円 

竹中「社長、お悩みですな。ええ方法がありまっせ、社員を減らして、ウチから派遣を雇いなはれ。派遣は仕入れになりますさかい、仕入れ額を増やせます。しかも人件費を削れるので、税抜経理の利益は変わりまへん。こんなええ話、他におまへんで〜」
社長「おぉ! 君はワシら事業者の救世主やな。はな、さっそく契約、と」

ちょうど通りかかった若手ダメ社員の鈴木君に、社長はこれ幸いと声を掛けました。

社長「鈴木くん、君は我が社で終わるような男やない『労働の自由化』『多様な働き方』乗るしかない、このビッグウェーブに!キャリアアップして、ビッグになるんや!」
鈴木「社長、わかりました。(給料安いし)辞めさせていただきます」

そして。。。

社長「ふむ、社員減らしても派遣で何とか回るもんやな。ほな、もっと派遣増やそうか」

図4【図3を加速した価格構成】消費税納税額:1,000円600円 400円 
販売価格=税込み売上(11,000円)
税込み仕入れ(6,600円)
税込み粗利(4,400円)
材料仕入れ
(3,000円)
人材派遣費
(3,000円)
仕入れ
消費税
(600円)
税込経理の
利益(2,400円)
人件費
(2,000円)
納税額
400円
税抜経理
の利益
(2,000円)
売上消費税
(1,000円)
粗利
(4,000円)
消費税納税額:税込み粗利4,400円*(10/110)= 400円 

社長「竹中はんの言うとおり、派遣を雇ってよかったなぁ。社会保険も労働保険も賞与も払わんでええし、昇給もせんでええ。仕入れと粗利が逆転してしもうたけど、税抜経理の利益は変わらへんし、ほんま、PSN様様やで」

こうして順調に納税額を節約できて、めでたしめでたし・・・とは、なりませんでした。やがて、商品が11,000円では売れず、9,900円にしないと売れなくなってきたのです。

図5【図4で販売価格が下落した価格構成】消費税納税額:900円600円 300円 
販売価格=税込み売上(9,900円)
税込み仕入れ(6,600円)
税込み粗利(3,300円)
材料仕入れ
(3,000円)
人材派遣費
(3,000円)
仕入れ
消費税
(600円)
税込経理
利益(1,300円)
人件費
(2,000円)
 
税抜経理
の利益
(1,000円)
売上消費税
(900円)
粗利
(3,000円)
消費税納税額:税込み粗利3,300円*(10/110)= 300円 

社長「何で売れへんのや・・・前はこれくらいの値段はみんな買うてくれたのに。売上減ったから納税額は節約できたけど、利益ガタ減りや。ちょっと従業員に聞いてみるか。ウチの会社もほとんど派遣さんばっかりになってもうたな。ま、そうしたのはワシなんやけど。あ、田中さん、ちょっとえぇ?」
田中「はい、何でしょう」
社長「ウチの商品が11,000円で売れへんのやけど、どれくらいやったら、買える?」
田中「11,000円ですか・・・1万円切ったら買えると思いますけど、1万円超えは・・・」
社長「え、そうなん!? 分かったわ、ありがとうな。。。まあ、そうか、派遣さんやと正社員より給料安いわけやし、昔の感覚で値段付けしとったら、売れへんわけか・・・」

終業後の帰り道、社長は懐かしい顔に出会いました。

社長「あっ!鈴木君やないか、久しぶりやなぁ。今、何しとるん?」
鈴木「お久しぶりです、社長・・・今はパソナに登録して派遣社員やってます」
社長「そうか、君も派遣社員か・・・ちょっと聞きたいんやけど、ウチの商品が11,000円で売れへんのやけど、どれくらいやったら、買える」
鈴木「11,000円ですか・・・1万円切ったら買えると思いますけど、1万円超えは・・・」
社長「(やはり田中さんと同じか・・・)」
鈴木「正社員の時だったら、買えていたんですが・・・社長、もういっぺん正社員で雇ってもらうことは出来ませんか?」
社長「どないしたんや?」
鈴木「派遣だと昇給も賞与も無くて、しかもいつ仕事が無くなるか分からなくて、将来に不安しかないんです! 正社員の時は安月給でこき使いやがって、と不満だったんですけど、でもわずかでも昇給はあったし、業績がよければ賞与も出るから、仕事が出来ないダメ社員の僕でも頑張れた、だから戻りたいんです!」
社長「・・・すまん、鈴木君。ウチもほとんど派遣さんばかりになってもうてな、正社員を雇うゆとりが無くなってるんや。それに値段を下げんと商品が売れへんようになってきてるから、余計に、な・・・」

それでも社長は「久しぶりやから」と鈴木君を飲みに連れていきました。「今日はおごるから」と。

鈴木「そういえば、僕の知り合いや友達も派遣社員ばかりで、正社員なんていなくなってしまいました。収入が不安定なんで、車や家なんて高い買い物はおろか、結婚だって出来ませんから、少子高齢化一直線ですよ」
社長「みんなでそろって貧乏に突き進んどるわけか・・・」
鈴木「正社員の時は、年配の社員を『ロクに仕事もしないのに高い給料を貰いやがって』と憤ってましたけど、でも年功序列で給料が上がっていくからこそ、若い時に車や家を長いローンを組んで買えていたんですよね」
社長「そうやった、ワシが若い時はみんな給料が上がっていくのが当たり前やった・・・いつからや、日本がこんな夢も希望も持てない国になったんは・・・」
鈴木「・・・消費税・・・」
社長「ん、なんや急に?」
鈴木「そう、消費税ですよ!社長が派遣社員を採用した切っ掛けって、確か消費税の納税額を節約しようとしたからですよね!」
社長「!、確かにそうやった、そん時にPSNの竹中はんに勧められて契約したんや!」
鈴木「社長、これ見てください!」
国内総生産(名目GDP).png
社長「何や、これ?」
鈴木「あるブログで見かけたグラフなんですけど、消費税が5%に上がった1997年から、日本の経済成長が止まっているんですよ」
社長「ホンマや・・・見事に横ばいになっとる。ちょっと待ちぃな、これ、それ以前の経済成長が続いとったら、今どれくらいになっとるんや?」
鈴木「ええと、1972年が約100兆円、そこから25年後の1997年が約530兆円だから、25年で430兆円成長していますね。このペースなら、1977年の25年後の2022年は、530+430で960、約1,000兆円・・・」
社長「なのに現実は、半分の500兆円・・・なんや、コレ!? 消費税3%時代は成長しとったのに、5%に上がっただけで、こんな影響があるもんなんか?」
鈴木「そういえば・・・」
社長「思い当たることでもあるんか?」
鈴木「ええ、僕ら派遣を生んだ派遣法が出来たのが1986年で、その年は派遣できる業種が13か16だったんですけど、1996年に26業種、1999年には原則自由化されたんですよ」
社長「そういえば・・・でも確か製造業はもっと遅かったよな?」
鈴木「2004年ですね。この時は1年の期限付きでしたけど、2007年に3年間に延長されてますね」
社長「その後も、派遣労働者の待遇改善のために派遣法はたびたび改正されてきたよな。それだけ派遣が増えたということか」
鈴木「そうして派遣社員ばかりになったから、高給取りの正社員がいなくなったから、車も家も買えず結婚も出来なくて、経済成長が止まったんじゃないでしょうか?」
社長「ううむ・・・確かに昔は派遣労働者はほとんどいなくて正社員だけで、それがいわゆる『分厚い中間層』と呼ばれていたよな」
鈴木「いま『中間層』なんていませんよ。僕たち『貧困層』とごく一部の『富裕層』だけです」
社長「そしてわずかに残った正社員もな。。。『同一労働、同一賃金』で、給与引き下げの圧力が掛かっている。派遣の給与を正社員並みに引き上げられる体力のある事業者や企業なんてないからなぁ。というか、鈴木君には悪いが「同じ仕事を安く」が派遣の魅力だろうに」
鈴木「派遣としては腹立たしいですが、雇う側としてはそうですよね」
社長「それにしても消費税だ! 消費税が無かった頃は、利益に掛かる法人税を節約するために、利益を削って、その分、社員への賞与など人件費に回すことが出来ていたんだ。ウチはやらなかったが、家族経営の小規模事業者なら社員である家族の賞与を増やして、利益を赤字にして法人税を免除にする、なんて話もあった」
鈴木「なるほど、それなら正社員が『分厚い中間層』に育ちますよね」
社長「しかし、消費税はな・・・粗利に掛かるんだ。分かるか? 売上>仕入れである以上、必ず課税されるんだ。法人税が免除される利益ゼロや赤字状態でも容赦なく、だ!」
鈴木「社長、だいぶ酔いが回ってきましたね。送っていきますよ」
社長「消費税さえ、消費税さえ無ければ・・・今も鈴木君を雇って、将来に希望を持てる日本の『分厚い中間層』に育っていただたろうに・・・500兆円をまぼろしにしおって、消し去った500兆円を還せぇ、クソ消費税めぇ〜」
。。。。
。。。
。。
.
この小話はフィクションです。実在の人物や団体などとは無関係であって欲しいなぁ。

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posted by 三森羊一 at 08:00| Comment(0) | 消費税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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