【予告編】生まれはフランス、育ちは日本。消費税と称する付加価値税にゃ輸出免税で還付金がございます。税収21兆の還付5兆で24%の還付率!財政再建、社会福祉なんざ真っ赤な嘘、地獄から来た消費税でございやす。
さて、消費税が実は直接税であり、付加価値税であったということは分かったが、なぜ消費税と称して付加価値税を導入したのだろうか。
そのヒントになりそうな付加価値税の誕生についての説明が、どんぶり勘定事務所の動画「消費税の仕組み〜増税・輸出戻し税・益税問題・インボイス制度など〜図解でわかりやすく解説!中小企業向け!」にあった。動画の22分30秒頃からがその部分で、その概要を記そう。
動画内の当該箇所の説明用ボードには「輸出戻し税(輸出免税)」とあるが、輸出免税については国税庁にタックスアンサーのページがある。
事業者の輸出取引、つまり、外国で消費されるものには消費税は課税しないというものである。消費税法の対象は国内取引、日本国内のお客様のみが対象ですよ、ということだ。これはまあ、「そらそうやな」と納得できる。外国のお客様から消費税もらうわけにはいかへんやろ、と。外国には外国の法律があるんやから、外国に日本の法律を適用するわけにはいかへんわな。ここまでは分かる。
では輸出取引の価格構成を、動画内の説明用ボードの金額でみてみよう。
図1【輸出取引の価格構成】消費税納税額:0円−300円= ―300円
販売価格=売上(11,000円)、消費税は免除で税率0% | |||
税込み仕入れ(3,300円) | 粗利(7,700円) | ||
仕入れ 本体価格 (3,000円) | 仕入れ 消費税 (300円) | 利 益 (2,700円) | 人件費 (5,000円) |
納税額 (―300円) | 粗 利 (7,700円) |
この場合、消費税納税額の計算式は((売上*(0/110))―(税込み仕入れ*(10/110))で、前者と後者の税率が異なるので、式の変形はできない。ただ、前者は必ずゼロになるので、必然的に納税額は常にマイナスになる。もちろん、仕入れ先は国内事業者(まあ、下請けでしょうね)で国内取引という前提だ。
それで、ここからが重要なのだが、このマイナスになった納税額(=税込み仕入れに含まれる消費税)は国から還付を受けられるのである。。。再び「な、なんだって―!?」てなりそうだ。そりゃ確かに計算式で納税額はマイナスにはなるけど、え? それで仕入れ時の消費税を還付してもらえるの?・・・・・・まったくもってその通りで、JETRO(日本貿易振興機構)に「輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付」の記述ページがある。
しかもこの還付金、なんと利息まで付くのである! 還付加算金と呼ばれるもので、財務省に利率についての資料がある。
市中金利の動向で調整はされるようだが、現在は0.9%で市中金利より高いようだ。
こうしてみると輸出取引を行う輸出企業には至れり尽くせりなのだが、何でこんなことになっているのだろうか。
どんぶり勘定事務所の神田税理士の説明によると、昔、GATT(関税および自由貿易に関する一般協定)が輸出企業に対する補助金を(原則的に)禁止した(1950年代から)。当時、フランスは輸出企業(*)が弱かったので補助したかったのだが、補助金はGATTで禁止されている、何とかならないかと(フランス大蔵省の官僚モーリス・ローレが1953年に)考案したのが付加価値税、つまりVATで、これをフランスは1954年に導入した。補助金じゃないんだよ、税金の還付だよ、とそういう理屈である。そして、輸出企業への還付を行うために、仕入れ先業者に税額と税率を記載したインボイスを発行させたのだそうだ。
*三橋貴明氏の動画によると自動車企業のルノーだそうだ(動画の6:00あたり)。
VAT自体はその後、EUはもとよりアメリカを除くOECD諸国に導入された、代表的な間接税とされているので、日本が間接税の導入にあたってお手本としたのは理解できるが、出自が輸出企業への補助金目的であったことも事実である。元静岡大学教授・税理士の湖東京至氏によると、輸出大企業がある地域の税務署は、還付金のために消費税の税収が赤字になっているそうだ。
ここで輸出取引の還付前と還付後、そして同じ商品が国内取引であった場合とを比較してみよう。
図1【輸出取引の価格構成】消費税納税額:0円−300円= ―300円
販売価格=売上(11,000円)、消費税は免除で税率0% | |||
税込み仕入れ(3,300円) | 粗利(7,700円) | ||
仕入れ 本体価格 (3,000円) | 仕入れ 消費税 (300円) | 利 益 (2,700円) | 人件費 (5,000円) |
納税額 (―300円) | 粗 利 (7,700円) |
図2【輸出取引の価格構成(還付後)】消費税納税額:0円−0円= 0円
販売価格=売上(11,000円)、消費税は免除で税率0% | |||
仕入れ 価格 (3,000円) | 還付額* (300円) | 還付前粗利(7,700円) | |
還付前利益 (2,700円) | 人件費 (5,000円) | ||
還付後利益(3,000円) | |||
還付後粗利(8,000円) |
*還付は翌年度。実際には利息の還付加算金が上乗せされるが、この図には含めていない。
図3【国内取引の価格構成】消費税納税額:1,000円−300円= 700円
販売価格=税込み売上(11,000円) | ||||
税込み仕入れ(3,300円) | 税込み粗利(7,700円) | |||
仕入れ 本体価格 (3,000円) | 仕入れ 消費税 (300円) | 税込経理の 利益(2,700円) | 人件費 (5,000円) | |
納税額 (700円) | 税抜経理 の利益 (2,000円) | |||
売上消費税 (1,000円) | 粗利 (7,000円) |
輸出取引の図1と図2を比較すると、当然、お得なのは還付額分だけなのだが(実際には利息の還付加算金が上乗せされる)、還付後の図2と国内取引の図3を比較すると、還付後の粗利も利益も売上消費税分がマルっとお得であることが分かる。
つまり、同じ価格で販売するのなら国内より海外へ、となるわけで付加価値税は輸出奨励(言い換えれば国内販売への罰金)の税制と言える。
さて、それでは、実際、どれくらいの消費税が還付されているのだろうか。国税庁に消費税が10%にアップされた2020年度までの長期時系列データがあり、それに還付金額もあったので、グラフを作成してみた。
グラフを見れば分かるが、消費税が8%に上がって還付額がほぼ倍に跳ね上がった2014年度以降、還付率は約24%前後で推移している(2020年度は消費税が約21兆円、還付金が約5兆円で、還付率は約24%)。ということは消費税って、約4分の1が輸出企業に還付されていることになる。これじゃあ、まさに輸出企業への補助目的じゃないか。どこが財政再建や社会福祉目的の税金なんだよ、嘘っぱちだらけじゃないか。
やはり、消費税は嘘と欲と策謀と欺瞞に満ちた、地獄から来たのに違いない。
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